『流転の地球』の続編『流浪地球2』を観た!

 知人からお誘いがありまして、2019年にヒットした中国SF大作『流転の地球』の続編である『流浪地球2(原題、英題:The Wandering Earth II)』を観させていただきました。*1ちなみに、こちらが2019年に書いた前作のレビュー。

 

 前作はバカ映画を観に行ったつもりが、ハリウッド映画を模倣した骨太なSFビジュアルに感嘆した。続編たる本作も早速『トップガン:マーベリック』を見本に戦闘機アクションを取り入れたり、『インデペンデンス・デイ』『インターステラー』や『ドント・ルック・アップ』、マイケル・ベイジェームズ・キャメロン映画、MCU、さらには『エバンゲリオン』など流行の映画やアニメを積極的に真似しているものの、ただの真似に終わらず前作よりも進化した映像・VFX技術や増大した制作費(なんと1億6千万ドル!)で相変わらずハイクオリティに再現してしまうのがすごい。なんといっても僕はスケールの大きい物語に説得力を持たせるプロダクションデザインが素晴らしいと思った。大作邦画がいつになったらこのレベルに追いつけるのだろう…。

 

 一方、今回は脚本も進化していて、ストーリーや設定を「バカ」と切り捨てるのは勿体無いのだ。もちろん、そもそもが地球にエンジンを取り付ける話なので、どうしたって大味でケレン味溢れる映画にはなってしまうし、後半にはエメリッヒばりのトンデモ展開が待ち構えているが、流浪地球計画と並行して描かれるデジタルライフプログラムが興味深かった。これは人間の意識をデータ化してコンピューター上で生きながらえさせる『マトリックス』のようなものだが、意識の寿命は使用するコンピューターの性能に依存する。このプログラムを使うことになった科学者と娘のドラマが本作のキーとなっており、前作同様親子愛がエンジンとなり物語を動かす。

 

 また、もう一つ面白かったのは本作の後半では制限されたインターネットを再始動させるためのアクションが用意されていることだ。中国政府の悪名高いインターネット検閲は広く知れ渡っているが、その中国政府の検閲を掻い潜って本作が作られたのは興味深い。また、前作と比べるとプロパガンダ的なメッセージは控えめに感じ、純粋に観客を楽しませ、世界に勝負しようとする作り手のエンタメ精神性の高い映画だ。

 

 ああ、でも一つ指摘するならば、本作に登場するアメリカ人が軒並みバカだったのは笑ちゃったな!誰も彼もが薄っぺらく描かれているんだけど、一方でやっぱり心強い味方になるのはロシア人。この映画の世界ではウクライナ人はどうなっているんだろう…。

 

 

*1:なお、VPNを通して海外の配信サイトで鑑賞したもので、海賊版ではありません。