『ゴジラ-1.0/C』を観てきたっす

  • 昨日『ゴジラ-1.0/C』を観てきました。正直なところ、カラーからモノクロになったことで得られた感動は薄かったので、今回の感想はどちらかというと2ヶ月ぶりに『ゴジラ-1.0』を見直して感じたことを中心に書く。初見時の感想はこちら。

  • 「モノクロになったことで得られた感動は薄かった」と書いたばかりだが、まずはモノクロ故の長所をば。例えば、紀子が敷島に銀座で働き始めることを教えるシーンなど、部屋に差し込む光の美しさたるや!他にもメラメラ燃える炎など、光と暗部のコントラストが際立つ照明の美しさが際立つのはモノクロバージョンならでは。
  • また、クライマックスの海神作戦が海中戦であるため、どうしたって初代『ゴジラ』のクライマックスの記憶を刺激させられたのもモノクロ版の良さ。
  • で、逆にモノクロバージョン故の勿体無さは、せっかく昭和の世界観なのに、音声が綺麗すぎてマッチしていない。あえてノイズ乗っけて古い映画のように再現したら面白かった気もするが、まあ古い映画だって公開された当時は音声が劣化していたわけではないし、「昭和っぽい映像にする」のが製作陣の意図でもない気がするので、これは僕の好みの問題かな。
  • 余談だけど、僕は『マッドマックス/怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション』も『シン・ゴジラ オルソ』も観ていないので、既存のカラー作品がモノクロ化される映画を見るのが今回が初めての体験。他の作品がどういうアプローチでモノクロ化に臨んでいたかは知らないです。
  • さあ、ここから愚痴っぽくなるが、今回は初見時よりも幾分か冷静に観れたので、ドラマパートやセリフのクサさやクドさがより気になってしまった。例えば、今回意識して数えたら、「アメリカ(GHQ)がソ連に忖度して作戦に参加できない」説明を4回もやっていた。また、「やったか!?」→やってないの応酬も同じくらい続けられている。
  • 佐々木蔵之介のべらんめぇ演技はやはりクセが強く、鑑賞後は一緒に見に行った友人とモノマネしまくるほど。ただ、モノクロ化して昭和感が強くなることで、これは意外に悪くない演技だった気はした。安藤サクラや田中美央も世界観にマッチしていて素晴らしかった。
  • が、一方で神木隆之介浜辺美波などの若手陣はどう頑張っても現代人にしか見えない演技で、ベテラン勢の演技と噛み合わせが良くない。全員実力も経験もある素晴らしい役者さんなので、これはどちらがいい悪いの問題ではなく、全体の演技プランを統一できなかった演出に問題があるのでは?
  • あと、全体的に見れば分かることをそのままセリフで言ったり、同じ表現を分かりやすく言い換えたり、全体的に説明口調。例えば、ゴジラが敷島が乗った震電を追いかけていると、艇長が「やっこさん、お怒りだ!…追ってきたぜ」と言うんだけど、①ゴジラが追いかけてきてることは分かる、②しかし百歩譲って艇長らしい言い方で状況を説明するのはいいとして、べらんめぇ調で発したばかりの内容を分かりやすい日本語で翻訳しているのは無駄の重ねがけだ。
  • あと、もう公開から大分経つので初見時に引っかかってた事を書かせてもらうが、『ゴジラ-1.0』で一番冷めるのは最後に紀子が生き残ってたことだ。再見するとやはり銀座での爆風が素晴らしく凄まじかったのに、逆に「どうせ生き残っちゃうんだよね…」とテンション下がってしまった。別に無理にバッドエンドにしろとは言わないが、せっかく敷島が数々のトラウマや絶望を乗り越えて生き延びる道を選んだのに、終わりが甘っちょろく感じてしまう*1
  • しかし、これだけ批判しておいて信じられないかもしれないが、僕は昨年末ベストテンで2位に選ぶほど『ゴジラ-1.0』は好きなのだ。この気持ちは今回再見しても変わらなかった。「うーん…」とモヤってもゴジラが現れる度にニコニコしてしまう。好きな物や人ほど欠点って目立つし、そこが愛くるしいのだ!
  • 最後に、どうして『ゴジラ-1.0』のゴジラが好きなのか考えてみたのだが、やはり泳いでいる時の水面にひょっこり顔を出した時の表情が犬みたいで可愛いからかもしれない。紀子が乗った電車を咥える時も口の開け方が可愛い。この可愛さはモノクロ版でも健在であった!

 

 

*1:とはいえ、首のニョキニョキがあるので、暗い未来を暗喩しているんでしょうけど!続編に期待