『サウスパーク』S22E4「Tegridy Farm」

 今週の『サウスパーク』はランディ主役会。既に今シーズン2回目のフィーチャーだが、最近の『サウスパーク』はスタン、カイル、カートマン、ケニーではなく、ランディ、カートマン、カイル、バターズで話を回している気がする。最後にケニーがまともに活躍したのはいつだろうか。

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 マッケイ先生のカウンセラー室に呼び出されたランディ&シャロン・マーシュ夫妻。娘のシェリーがベイプを吸うために、監視員に自分のケツの穴と称して犬のケツの穴をテキストで送り撹乱したのだ。スクールシューティングにカトリック神父の児童虐待ゾルピデムによる人種差別発言など、最近のサウスパークの悪影響に嫌気が指したランディは静かなカントリーライフを送ろうと決心する。半ば強引に家族を説得し、マーシュ一家は田舎へ引っ越し大麻農園「テグリディー・ファーム*1」をオープンするのであった。

 

 ランディの農園は久々に登場したタウリーの農産物検査(実際にはただタウリーがマリファナを吸ってハイになるだけ)を受けて見事合格し、これでディスペンサリー・ショップで自分が育てたブランド「テグリディー・ウィード」が売れる!と大喜び。そんな折にベイプ会社のセールスマンがランディの農園を訪れ、業務提携を申し込む。もちろん、ベイプを毛嫌いしているランディはベイプペンを「オメコ棒(Pussy Stick)」と呼んでバカにして追い返す。

 

 一方、バカ親父のせいで家の家具やご飯が全部自家製の麻製品となり、1時間もかけて学校に通わなくてはいけなくなったスタンは憤慨していた。しかし、ベイプに手を出しているのはスタンの姉シェリーだけではなく、カイルの弟アイクを始めとして幼稚園児たちの間でもベイプが吸われており、学校中でベイプが蔓延していることが発覚する。事態を止めるべく4人組は子供達にベイプを売り捌いている少年を突き止めると、何とその正体はバターズであった。4人組にもベイプを売ろうとしたバターズをカートマンはぶん殴るが、何を隠そうカートマンこそがベイプ密売の黒幕なのであった…。

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 世界的に大流行しているベイプと合法化の流れにあるマリファナを扱った回。まるで90〜ゼロ年代によく見たドラッグディーラー映画のプロットをまんまベイプに置き換えたような話だが、面白いのは当時と違い大麻に対する世評は大きく変わり、アメリカでも『サウスパーク』の舞台となったコロラドを始めとして9州が嗜好用大麻を合法化、計30州が医療用大麻を合法化*2しているし、つい昨日カナダが先進国としては初めて全国で嗜好用大麻合法化をしたばかりだ。少し前まで厳しく取り締まわれていた大麻を堂々と栽培しているランディが、新しい嗜好品のベイプを目の敵にしているのは面白い。しかし、こうした嗜好品への規制は古くからコーヒーやお酒、タバコなど嗜好品が出て来るたびに行われて来たことなのだ。

 

 日本でも電子タバコが流行ってると聞くが、アメリカではベイプやジュールが大人気で僕の知人もタバコをやめてベイプに切り替えた人は数多い。ベイプやジュールは更にちょうどAppleがコンピューターに行ったようなデザイン革命をタバコ業界に施したこともあって若者やヒップスターから人気だが、未成年者のベイプ喫煙も問題になっている。ただ、むしろトレイとマットが本作で訴えたいのはベイプ吸ってるやつってイケ好かないよな!に尽き、その証拠としてベイプペンを「オメコ棒」と呼んで[金持ちとチャラチャラしたオシャレ野郎が集まるベイプ工場を最後に爆破してしまう]のであった。

 

 

*1:Tegridy Farm、Integrity(高潔)を田舎っぺの発音で言う感じ

*2: