コロナ療養記vol10〜退所編〜

  • 人生で最も長く感じた10日間が遂に終わる。朝からウキウキが止まらなかった。
  • 改めて対処オリエンテーションを受ける。使用したタオル類、シーツ類、枕カバーは全て感染性廃棄物として処分するそうなので、1階のロビーで配布されているゴミ袋の中に入れる。
  • これ、当然全ての療養者が退所する時にやっていることで、おそらく全国のコロナ療養所でこの2年間数多のタオルやシーツが捨てられてきたと思うが、あまりにも勿体なくないか?厚生労働省のサイトでも「家庭用の掃除用洗剤でもウイルス量を減らすことができます。」と書いてあるのだけれども、この廃棄処分には科学的根拠はあるのだろうか?それとも業者が洗濯する過程で感染する恐れがあるから、こうせざるを得ないのか?SDGsと声高に叫ぶ割にはあまりにも時代に逆行していないか?

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  • まあ何にせよ、この「感染性廃棄物」を生み出した元ゾンビとしては、そんなことを主張する権利はないのだ。帰りもまた留置所の面会みたいな形で受付の人と退所手続きを行い、ルームキーとパルスオキシメーターを返却して10日ぶりに外に出る。
  • 関西の天気は雨模様で、生憎の曇り空だった。それでも眩しい!マスク越しに吸うシャバの空気が美味しい!『ショーシャンクの空に』のラストみたいな謎のカタルシスと清々しさを覚えたのであった。
  • 新幹線のチケットを買う前に、まずはマクドナルド。クーポンでダブル肉厚ビーフのサムライマックLLセットを貪り食う。LLセットだぞ、LLセット!なんと贅沢だろう!まあクーポン使ってるんだけど!この10日間、朝昼晩とかなり栄養素をコントロールされた弁当しか食べてこなかったので、指まで舐めたくなるポテトの過剰な塩分に感動した。コーラの炭酸が喉を洗い流す時の刺激ときたら!『パルプフィクション』か!
  • 彼女に頼まれていたので、駅で551の肉まんとシューマイを買おうとしたら、チルドがない。近くの店舗3軒くらい回ったけど、どこにもない。聞いたらチルドは新大阪だけなのね。それでも551の肉まんは最高なので、というかシャバの食べ物なんでも食べたいので、6個づつ買った。
  • のぞみで東京まで帰る。『ブレイキング・バッド』を観ようと思ったけど、新幹線のWi-Fiってなんであんなに弱いんだろうね。ブツ切れでストレスフルだったので大人しく寝た。東京まで2時間、さらにそこから家まで大体30分。退所してすぐに家に帰れないのがもどかしく、10日間外に出てなかったので体力が異常に落ちており、家に帰り着く頃にはヘトヘトだった。
  • なんにせよ、こうやって今久しぶりに自宅のモニターの前でキーボードを打ってブログを更新している。僕と同時期にコロナに罹ったスタッフは今だに嗅覚が戻ってないそうで、こうした話を聞いていると自分は咳や熱があったとはいえ軽症で済んでつくづくラッキーだったなと思う。
  • コロナに感染した人の話を10人に聞けば10人とも症状が違う。自分の症状が軽かったからといって、コロナはただの風邪なんてとても言えないな。
  • 今後コロナにかかった人の参考になればと思い、このコロナ療養記を書き続けた。コロナ体験者としてアドバイスをするならば、何よりも10日間もの間社会的に自分の時間が止まるのがキツく辛かった。療養所がいかに退屈か愚痴を書き綴ってしまったけれど、症状が重い人にとっては看護師が在中しているホテル療養は重要だろう。さっきも言ったように、十人十色人それぞれ症状が違うので、自分の体調に合った療養生活を送るのが重要だろう。そんな中で自分みたいに症状が軽い人は、なるべくストレスの少ない環境で隔離生活を送ることをオススメする。娯楽(VOD)だったり、飲食物(配達)だったり、自分の好きな物がすぐに手に届く環境が望ましい。結局はメンタルヘルスが一番大事です。