何故アメリカの若年男性の多くが、民主党から共和党支持に乗り換えつつあるのか

 ウォール・ストリートジャーナルの「何故アメリカの若年男性の多くが、民主党から共和党支持に乗り換えつつあるのか」こちらの動画が衝撃的でした。

 

 動画によると、ここ長いこと若者は民主党支持で、2008年のオバマが大統領に選ばれた時の選挙では58%の若者が民主党を支持していたが、2023年の世論調査ではその割合が50%を下回り、共和党寄りの傾向が顕著になったという。この主な原因は、若い男性の支持動向であり、彼らの共和党支持率は2016年の35%から2023年には48%に上昇し、この7年間で13ポイントの増加を記録している。

 

 この変化の背景には、若い男性と女性が重視する政策の違いがあるという。若い男性の多くが経済を最重要視しており、トランプ前大統領の税制改革を支持する傾向が強い。一方で、若い女性の間では民主党が力を入れている中絶が最も重要な問題であるが、若年男性の間で中絶に関心を寄せる割合は極めて少ない。若年層向けの経済政策ではバイデン政権は学生ローンの免除措置を行ったが、そもそもローンを借りているのは女学生が多く、ローンを借りなくても大学に行けるほど裕福な人が多い男子学生はその恩恵をあまり受けていない。

 

 さらに、若い男性の中には就職率が低下傾向にある一方で、大学卒業者の中で女性の占める割合が増加している。つまり、男女が直面する現実が大きく異なっていることが支持政党の違いに影響を与えている、との分析だ。

 

 僕が思うに、これは女性が優遇される社会になったというよりは、女性が男性と対等な立場になっただけなのだけれども、上の世代が手にしていた男性特権を失った若年男性に寄り添っているのがトランプなのだ。加えて、トランプ前大統領が若い男性にアピールするために格闘技イベントやポッドキャストに登場したりしている。

 

 今の若年層の男性が、排他的で過激なポピュリストを支持している、といのはとても恐ろしいことだと思う。だって、彼らがこれからの社会の中核を担っていくのだからだ。そして、日本の若年層の投票先を思えば、これは決して他人事ではない。しかし一方で、だから若年男性を批判するのも分断をより深いものにしていくだけだ。何故こういう構造になってしまったのか、彼らの心の傷を分析し、問題を解決していく必要もあると思う。