今日はこちらの動画を見て衝撃を受けてしまいました。
こちら、フィルムメーカー系のYouTuberさんかと思ったら、なんとオーストラリア出身の数学系スタンダップコメディアンのマット・パーカーさんが作った動画です。情報量が多過ぎて全くもって意味不明ですが、マットさんはフィルムに関する動画をなんとスーパー35mmフィルムで撮影します。つまり、史上初めて35mmフィルムで撮影された「YouTube動画」です。*1
スーパー35mm*2はハリウッド映画でも普通に使われる超高画質なフィルムフォーマットです。スマホで見る人が多いYouTube動画には全くもって必要がないクオリティなのですが、当然この動画はフィルム代もトンデモないです。撮影するだけで1秒1USドルかかっており、この動画は22分27秒(1347秒!)もあります。ただ、これは撮影だけのコストなので、フィルムを現象して編集するコストも考えると更に金がかかります。
そう言った理由で今回の動画は金がかかることを説明し、一分一秒無駄にしないようにテキパキと各フィルムの説明をしていきます。感心したのは、マット・パーカーさんは元数学教師という事で、解説が恐ろしく上手く、更にコメディアンとして話術に長けて飽きさせないんですね。我々デジタル世代はフィルムについて本や雑誌などで読んでもイマイチ頭でイメージしづらいところがありますが、この動画では数学を用いて分かりやすくサイズ感を解説してくれる上に、実際にフィルムで撮影してその違いをビジュアルで見せてくれるんですね。
例えば、16mmと35mmをスプリットスクリーンにして画質を比較する映像なんて前代未聞でしたし、なぜアナモフィックレンズで撮ると水平なハレーションを起こすのかの仕組みが大変よく分かりやいです。僕自身フィルムで撮影した経験がないので、同じ35mmのフィルムでも、フィルムの感度やカラーによって全く異なる映像になるのを見せてくれるのは新鮮でした。
笑ってしまったのはエンディングで、あらかた今回の動画をひとまとめしたかと思えば、まだまだフィルムが余っていることが発覚し、勿体ないけどやる事がないのでとりあえずパトロンの名前をエンドクレジットで流し始めるんですね。で、終わったかと思えばまた撮影し始めて、どうも1日の撮影で残ったフィルムが感度の低いもので、暗くなった外で撮影するには露出が足りないことに気付き、増感現象をするためにもう一度撮影し始めました。『デッドプール』も顔負けのメタ的な演出(というかトラブル?)に僕は驚愕しました。
世の中にはフィルム原理主義者の映画作家がいたりして、時に揶揄されたりするんですけど、でもやっぱりこの動画を見るとフィルムのルックにはウットリしてしまうんですよね。この間観た『ツイスターズ』もKodak 35mmで撮影された質感が90年代ディザスター映画感を押し上げてくれて最高だと思いました。僕もいつか『スケッチブック』のコントをフィルムで撮ってみたくなりました。と言うわけでこちらの動画、映画ファンや映像制作志望者なら必見だと思うので、是非チェックしてみてください!