バスケに苦しまされ、バスケに愛された男

 NBA選手デリック・ローズが引退を発表しました。

 

 僕がNBAファンになりたての頃、『アメトーーク』の「NBA大好き芸人」で麒麟田村のデリック・ローズのプレゼンを見てファンになりました。知らない方に彼の光陰あるキャリアをご説明すると、シカゴ出身のデリック・ローズは2008年に地元シカゴ・ブルズに全体1位指名でドラフト入団しました。マイケル・ジョーダン退団後のブルズは長らく低迷していたこともあり、かなりの期待を背負わされていたローズですが、ルーキーイヤーからエースとして活躍し、新人王を獲得しました。NBA史上最年少のMVP受賞も達成し、弱小球団だったブルズを東の強豪まで引き上げました。

 

 が、2012年のプレーオフで前十字靭帯を断裂してからローズの経歴に影が差し込みます。翌シーズンは全休、復帰後も怪我に悩まされ、遂にはニックスへとトレードされてしまいます。愛していた球団からトレードを告げられ、号泣するローズの動画は今見ても泣けます。*1

 

 ニックスへトレード後もローズの苦難は続き、再び怪我に悩まされ、様々な球団にトレードされ続け、ユタ・ジャズに辿り着いたものの解雇されてしまいました。しかし、ここからがローズの物語の真髄で、この年ローズはミネソタ・ティンバーウルブズとの契約にこぎつけます。ローズは徐々に調子を取り戻し、翌年自分を解雇した因縁のユタ・ジャズとの試合で自己最高の50得点を叩き出します。ホームではMVPコールが鳴り響き、涙ながらにヒーローインタビューに答える様は全世界のバスケファンを泣かせました。*2

 

 このようなまさにアメリカンなストーリーを負っているデリック・ローズは全米から愛されており、トレード元の球団へ行くたびにアウェーにも関わらず拍手とラブコールで迎え入れられていました。最近はベテランとして若手の指導の役割を担うことが多く、キャリア最晩年には渡邊雄太が所属していたメンフィス・グリズリーズでその役割を全うしていました。

 

 グリズリーズと言えば、河村勇輝がキャンプ参加契約を交わしたことで話題となりましたが、ローズの指導を受ける河村の姿も見てみたかったなぁ…。なんにせよ、デリック・ローズのバスケに苦しまされながらもバスケに愛された人生を祝福したいと思います。お疲れ様でした!

 

 

*1:と、あたかも当時から知っているかのように書いていますが、僕がNBAファンになったのは2019シーズンからです…。にわかでごめんなさい!

*2:まあ、これも僕はリアルタイムで見てないんですけど!