長いものに巻かれまくる社会

 松本人志が一連の文春報道に関する裁判を取り下げた。「事実無根なので戦いまーす」と強気に出ていた時と比べたら、180度ひっくり返った展開である。というか、そもそもこの裁判は無理筋たと訴訟が起こされていた当時から言われていたが、本当にその通りになった。

 

 おそらく、松本人志は人生で他人に謝ったことはないだろう。代理人が発表した謝罪文を読んだが、あくまでも文春側に物的証拠が無かったことを強調したり、「 不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば」という条件を限定した書き方からして、かなり渋々応じている謝罪に感じる。まだ文春を責めたい気持ちを出すのは分かるが、被害者女性たちにはせめて全面的な謝罪の姿勢を見せた方が良かったのではないか。

 

 ところが、インターネットの反応を見る限り、松本人志がお茶の間に戻ってくるのを喜ぶ声の方が大きく感じる。さらに、「#文春廃刊」なんてズレてるもいいところなトレンドが生み出されているのにも呆れてしまった。

 

 この弱者は寄り添うよりも権力を手にした男へ圧倒的に支持が集まる現象、何か既視感があるなと思ったらトランプのそれと全く同じだった。金と権力さえあれば、レイプしても大統領にもテレビのスターにも戻れるってさ。夢がある話ですねー。