※この映画はネタバレなしには語れませんので、最初からネタバレ全開で書きます。バカな配給・宣伝のせいで不入りで終わっちゃいましたが、傑作ですのでDVD・BDが出たら是非観てください!
大人が遊びに本気を出すと怖い。ちょっと前にLEGO®で車を作った人が話題になり、LEGO®の世界コンテストでは何万というLEGO®ブロックで構成された建築物のミニチュアがズラリと並ぶ。東大のLEGO®部なんかも有名。
LEGO®でなくても、本気の大人はアニメのシーンを再現したようなガンプラのジオラマを作ったり、14畳もの広さのプラレールを組み立てたりする。どんな才能を持っていようと、技術面でも金銭面でも子どもは大人に到底敵うことはできない。
あと、僕の卑近な例で言えば、ポケモン。ポケモンほど大人が本気を出したら怖い遊びはない。所謂三値*1を究め、強い個体のポケモンを手に入れるため無数の卵を孵化し続け、ひたすら同じ野生のポケモンを倒す単純作業に没頭する。旅の仲間と楽しくプレイすることが一番の目的の子どもには無縁の世界だ。
そして大人は完璧を求める生き物であり、未熟な者(子ども)には意地が悪い。ニコニコのポケモン実況動画なんかでも、間違ったコメントがあるとすぐ「にわか」や「消房は帰れ」などと叩くコメントが飛ぶ。ポケモンの本来のターゲット層である子どもが大人から追い出されているのだ。
LEGO®で言えば、僕も経験がある。小学校高学年の時だったか、せっかくマニュアル見ながら手間暇かけて作ったポッドレーサーが翌日弟に改造され、無惨な形となってしまった。あの時はこれでもかというくらい怒ったっけ。
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なんでこんなことをグダグダ書いているのかというと、『LEGO®ムービー』は徹底したレゴの世界を描いているのみならず、「遊ぶ」という行為の創造性というテーマにまで踏み込んでいるからだ。
本作で提示される世界観は完璧である。街並みだけでなく、空や雲、ビームや煙、爆発までありとあらゆる物がLEGO®で再現されている。全編フルCG作品だが被写界深度は極端に浅く、キャラクター達の動きはフィギュアの可動域で制限され、あたかもストップモーションで作られているかのようである。プラスチックのバリ(接合部)まで再現される徹底ぶりには恐れ入った!
The Lego Movie CLIP - Everything Is Awesome ...
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だが、こうした「完璧なLEGO®の世界」は、実は「大人」が作り出した世界であった事が判明する。ウィル・フェレル演じるお父さん*2が地下室で緻密に作り上げたLEGO®のコレクションで物語は展開されていたのだ。ただし、お父さんが作り出したその世界で物語を展開していたのは、彼の息子のフィンであった。
息子が勝手に自慢のコレクションで遊んでいるのを見て怒るお父さん。
「これはおもちゃじゃないと言ってるだろ!」
「でもおもちゃ屋さんで買ったよ…」
「これはおもちゃじゃないと言ってるだろ!」
「でもおもちゃ屋さんで買ったよ…」
「買ったけど、これは大人向けの遊びなの!」
「箱には『対象年齢:8歳から14歳まで』って書いてあるよ!」
「そんなのただの提案だ!」
なんて、なんとも大人げない。
しかし、同時にお父さんは子どもの自由な発想で作られたLEGO®に驚嘆する。フィンが新たに作り出した世界観は独創性に富んでいる。逆に、自分がいかに完璧に=マニュアル通りに作る事に固執してきたかに気付かされるのだ。
それだけでなく、『LEGO®ムービー』は才能がなくたってオリジナリティは発揮できると教えてくれるし、時にマニュアルに沿うことさえも認めてくれる。遊ぶという行為に決まったやり方はない、ということを教えてくれる『LEGO®ムービー』は遊び方のマニュアルなのだ。
「箱には『対象年齢:8歳から14歳まで』って書いてあるよ!」
「そんなのただの提案だ!」
なんて、なんとも大人げない。
しかし、同時にお父さんは子どもの自由な発想で作られたLEGO®に驚嘆する。フィンが新たに作り出した世界観は独創性に富んでいる。逆に、自分がいかに完璧に=マニュアル通りに作る事に固執してきたかに気付かされるのだ。
それだけでなく、『LEGO®ムービー』は才能がなくたってオリジナリティは発揮できると教えてくれるし、時にマニュアルに沿うことさえも認めてくれる。遊ぶという行為に決まったやり方はない、ということを教えてくれる『LEGO®ムービー』は遊び方のマニュアルなのだ。
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*1:種族値、個体値、努力値。ポケモンに明るくない映画ファンの皆様に説明いたしますと、種族値は像と人間の差、個体値はウサイン・ボルトとタイソン・ゲイの差、努力値は勉強してる人としてない人の差です。これらの値を組み合わせて大人は強いポケモンを作るのです。これらは隠しステータスというやつで通常のプレイでは確認できず、子どもにはハードルが高いので批判も多い。かくいう僕も三値を批判して先輩とTwitterでプチ口論した身ではあったが、XYから厳選が簡単になってしまったため、ついに廃人デビューしてしまった。本当にすみませんでした、今では卵を割り続ける日々です…。
*2:余談ではあるが、お仕事大王=ウィル・フェレル演じるお父さんが判明した時、劇場では外国人観客を中心として爆笑が起きた。