僕がアメリカに渡ったのは映画の勉強がしたかったからであるが、何故かLAやニューヨークではなくアーカンソーという辺鄙な土地にある大学に行く羽目になった。端的にいうと騙されたのである。
「君は映像について勉強したかったらこの大学のメディア学部を専攻した方がいいよ!」と斡旋所に促されるままアーカンソーに渡ったが、結局日本の大学の映画サークルで素人の仲間同士で学んだもの以上のことは一切学んでないし、留学先の大学のプログラムもショボかったし学生のやる気のなさ&知識のなさもんまー酷かった。地元の人間にさえ「君は映画の勉強がしたいのか?じゃあなんでアーカンソーに来たんだ?」とか驚かれる始末であった。まあ、アーカンソーでの田舎っぺ体験は色々カルチャーショックで面白かったっちゃ面白かったので無駄だったとは決して思わないけど、時たま留学を選んだ決断は正しかったのか今でも自問自答するときはある。
今は映像系の会社に就職してNYにいるが、自分のやりたいことに近付いているのかは不明瞭で、悶々とした日々を送っている。そんな折に今日アメリカ在住のディレクターを調べる仕事をしていたのだが、そこでビックリ。『スモーキング・ハイ』を撮ったデヴィッド=ゴードン・グリーンはアーカンソー州リトルロックの出身地身だったのだ!
『スモーキング・ハイ』は僕の大好きなセス・ローゲンとエヴァン・ゴールドヴァーグの代表作であり、同時にその頃伸び悩んでいたジェームズ・フランコのコメディ役者としての才能を開花させて再ブレイクの契機となった作品だ。他にもジョナ・ヒルの『ビンタ・シッター』も撮ってる*1し、今度はなんとブラムハウスとジョン・カーペンターのプロデュースの元『ハロウィン』のリブートまで届ける。凄いぞ、僕の好きなもの全部盛りじゃないか!
といっても、デヴィッド=ゴードン・グリーンと僕の共通点なんて「アーカンソーにいたことがある」くらいしかないんだけど、でも今の気持ちは物悲しく二つの夕日が沈むのを見届けるしかなかったルーク・スカイウォーカーが、変人だったと思っていたベン爺さんが実はジェダイの騎士だったことを聞いて目を輝かせる時の心境に近いかな。
まあ、忘れがちだけどアーカンソーってビル・クリントンの出身地だしな、何も生まれてない土地ってわけじゃないんだ。アーカンソーに渡った決断を信じて僕も頑張ろう。
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*1:デヴィッド=ゴードン・グリーン作品には独特な緩いテンポがあるが、南部出身ならではのテンポ感だと思うと納得いく