PCRを受けに行った!の巻

 先週まで入っていた仕事で激務だったわけだけれども、実は生きた心地のしない二週間でもあった。というのも、仕事先の建物で、新型コロナの陽性者が出たというのだ。仕事がない時は基本家で引きこもっているフリーランサーの僕にとって、最も身近な感染ケースである。しかし、その陽性になった方とは一度もお会いしていないし、あまり接触する機会もないそうだが、トイレやキッチンなどは共有している可能性があるという。

 

 感染爆発で保健所がキャパオーバーになっている中で、こんなちっぽけなケースに詳細な聞き取りなど訪れるはずもなく、感染者が出たからと言って建物は閉鎖されず(深夜に消毒は行われた)、業務も淡々と続いた。仕事場にも「そんなことで仕事が止まってたまるか」という、一種このコロナ禍に慣れきった雰囲気が漂っていたが、こうした空気もまた感染を広げているのだろう。普段からビビりな僕は、この一件が起きて以来何かあるたびに手を消毒したり、ドアノブはティッシュ上着の袖で開けるなど細心の注意を払った。

 

 さて、仕事自体は先週末に終了したけれども、連日5000人近い感染者が出ている中で、「1回目のワクチン打ったし、症状が出ていないからと自分は大丈夫だろう」と高を括るのは無責任だと思い、近所の総合病院でPCR検査を土曜日に受けてきた。この感染状況の中、すぐに予約できるか不安だったけれど、そんな心配は稀有だったようであっさり検査を受けられたし、事実ガラガラだった。

 

 医師による簡単な問診を受けた後、検査に移る。唾液を容器に入れるタイプの検査で、5mlくらい唾液を採取するので、これが結構大変だ。なにしろ、検査の精度を保つために1時間前から飲食を禁じられている。口内が乾いていて全然唾液が出てこないのだけれど、笑ったのはそういう人のためにかレモンと梅干しの写真が検査室に貼られていたことだ。効果があったかどうかは知らない。

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 容器を受付で渡すと検査は終了する。病院に着いてから1時間も経っていないくらい簡単だった。日曜は空いていないので、結果は月曜日に知らせてくれるとのことだったが、陽性だった場合は医師から電話があり、保健所への連絡などの指示があるそうだ。一方で、そうでなかった場合は事務員から連絡があり、陽性か陰性かどうかは電話口で教えることはできないけれど、来院か郵送かで検査結果を受け取ることができる、と伝えられる。まどろっこしいけれど、「要は事務員からの電話だったら陰性ということですよね?」と聞くと、苦笑いで「結果はお伝えすることはできませんが、まあ、そういうことになります」と返された。

 

 病院から戻ると、念のために陽性だった場合に備えて食糧を買い込み、土日は一切家から出ないで過ごした。元々仕事で疲れていたので、一切何もしないでダラダラすることを決めていたが、周囲への感染予防と考えると何だか崇高な目的を果たそうとしてるようで気分がいい。

 

 そして、今日、月曜日。朝は病院からの電話で目が覚めた。事務員の方からの連絡だった。まあ、体調に変化はないし、陰性だろうとは思っていたけれどホッとした。病院へ行って、検査結果が書かれたカードを受け取りに行く。より安心したけれど、たったこれだけの安堵感のために2万7500円も払ったのは、ちょっと納得がいかないが、安心を金で買う時代だということだろう。

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 腹が立つのは、パンデミックが起きてから1年も経つのに、いまだに検査のハードルが高すぎることだ。症状がなくともPCRができるようになったのは進歩かもしれないが、何より保険が効かないのはやっぱりどうかしていると思う。ニュースによると、スガは「「帰省、旅行も極力避けていただき、やむを得ないときは検査をしながら身近な人と小人数で行くなど若い人たちにも協力していただければ」*1とか抜かしているらしいが、検査がこんだけ高かったらほとんどの人が受けようとしないだろう。民間の検査もあるが、あちらだって1万円近くする。

 

 全く政治が信用ならないので、こうして個人が注意する他ない状況は嘆かわしい。去年夏には「流石に来年にはおさまっているだろう」と思っていたが、今は見通しも立たない。ああ、いつまで続くんだろう。