『ザ・クリエイター/創造主』はオリエンタリズムと寿司屋のメニューみたいなフォントがキツかった…!

 今日遅ればせながら『ザ・クリエイター/創造主』を観てきたっす。ギャレス・エドワーズの新作ということですごく応援したかったんですけど、うーむ、ちょっとキツかったですね…。いや、SF的なビジュアルは本当にカッコよくて素晴らしいんですよ。ただ、「ニューアジア」がいかにも西洋人の考えたオリエンタリズムの極地って感じで、見ていて非常に白けてしまいました。

 

 日本が大好きなギャレス・エドワーズにとっても、東洋はなんとなーく神秘的でミステリアスなところで、一口にアジアといったって言わずもがな日本や中国、韓国、インド、ベトナム、タイ、イラン、サウジアラビア…と大変多様性に富んでいるにも関わらず、それが「ニューアジア」という国家に雑に一括りにされるのはハードコアなビジュアルに反して全くリアリティに欠けます。

 

 AIが坊主の袈裟を着ているのは絵的にカッコいいと思ったかもしれませんけど、むしろAIを積極的に社会に取り入れるのは合理主義なアメリカだろうし、保守的なアジア圏で宗教とAIが融合するのは中々にあり得ないと思います。あと、今や東南アジアも含めてアジアの経済的発展は目覚ましいですが、西洋人にとってアジアのイメージはベトナム戦争の頃から全然変わってないんだなぁ、と悲しい気持ちになりました。

 

 一方で、これまたまだ感想を書いていないんですが、『ジョン・ウィック/コンセクエンス』に登場する大阪もオリエンタリズムの塊みたな描写でしたが、あれは主な舞台のNYだってファンタジーに近く、シリーズ全体がケレン味に溢れており、半確信犯的にやっているのでさほど違和感を感じませんでした。『ザ・クリエイター』の問題は、すごくシリアスにやった結果薄っぺらい描写になってしまっていることで、それを象徴しているのが度々登場する寿司屋のメニュー表みたいなフォントの日本語表記だと思いました。残念。