大衆の目に惨状という焼印をつけよ

 このニュース映像を見て強い衝撃を受けた。

 

 見ていて辛いし、涙が出る。が、僕はこれこそがニュースだと思うし、これがマスメディアが持つ力だと思うので、日本の各テレビ局はこういう実情に迫った映像をもっと作るべきだ。

 

 かつてない感染爆発の真っ只中、政府は人出の7割削減を求めていると言うが、現状はお察しの通り減っていない。こればかりは仕方がない。何故ならコロナウイルスの脅威は目に見えず、多くの人にとっては中東で日々起きている戦争のような、遠いどこかの世界で起きている悲劇なので、自分のこととして捉えられないのだ。

 

 であるならば、見えない惨状を可視化することがニュースメディアの役割だ。去年、武漢で、イタリアで、NYで医療崩壊が起きた時、我々は固唾を飲んで見守っていたはずだ。医療崩壊が起き、肉体的にも精神的にもとうの昔に限界を迎えた医師や看護師たちが、マスクやゴーグルの跡がくっきり残る顔で泣き叫ぶ映像を散々見てきたからだ。あるいは、イタリアやNYの惨状を指して「日本の状況は遥かにマシ」などと曰う者たちもいた。

 

 だけど、医療崩壊はもう日本で起きている。人が自宅の寝床で死に、それを救えなかった医師たちが落胆する暇もなく、次の現場へ向かう。感染爆発の状況で隠れて歓迎会を行ったり、テレワークの推進を各業界のお偉方に直接会って申し入れる日本の政治家のメッセージの伝え方のヘタクソっぷりは我々がよく知る通り。今日も緊急事態宣言をに8道県追加したその日に、ブルーインパルスを飛ばして多くの観衆を集めていた。

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 冒頭のニュースは見るのは辛い。だけれども、我々は目の穴をかっぽじってでも脳裏に焼き付けないといけない映像だ。各報道番組はメディアとしての矜持を持ってこういった惨状をもっと取材し、我々を怒らせて欲しい。そうした怒りが、次の選挙で投票所へ向かう数々の拳になる。