アフリカ人が着ていた「Black Lives Matter」

 アフリカには各国から「寄付」という名目で集まった衣服で溢れかえっている。寄付した本人は善意のつもりだろうが、その本当のところは裕福な人たちの不要な服処分であり、現地人が必要な量以上の衣服が集められ、結局は現地の市場で転売されている。マーケットに行けばそこら中で古着や靴が売られている。

 

 一方で、アフリカ人はオシャレである。世界から集まった服を無限に組み合わせ、古着をカッコよく着こなしている。NBAファンの僕はやはりNBA選手のジャージーを着ている人が多いところに「お!」となるのだが、いざ本人に「レブロン・ジェームズのジャージーだね」と声をかけてもチンプンカンプン。ただ単にジャージーの色やデザインがいいから着ているのであって、そのジャージーの本来の意図や用途は二の次なのだ。

 

 その中で僕がまた色々と考えさせられたのは、ザンビアで見た少年が着ていた「Black Lives Matter」のTシャツである。世界中で不当な差別を受けている黒人の人権を訴えるための標語としていまや説明も不要だろうが、恐らくこのアフリカ人の少年はその意味するところを知らない。先進国で行われたデモに参加した人が運動も落ち着いて衣服を寄付したのか、紆余曲折を経てザンビアの地に流れつき、デザインを気に入った少年が着ている。*1

 

 あくまで想像でしかないが、そんなツイストされた顛末を考えるとなんだか社会構造の皮肉めいたものを感じてゾッとしてしまったのであった。

 

 

*1:勘違いしないように釘を刺しておくが、当エントリはBLM運動を批判するものではないし、むしろ筆者の立場としてはBLMを積極的に支持している。