己の経済的無力さを知った話

 皆さん、保険入ってますか?フリーランスの僕は日本で社会人になってから国民健康保険以外の保険に入ったことがありません。アメリカのブラック日系会社に勤めていた時ですら会社の手違いで保険に未加入のまま1年半以上過ごしていたという、今考えると末恐ろしいことをしていました。(アメリカには社会保険がありません)

 

 で、まあ、先日知人が保険屋になりましてさっそく営業を受けたわけです。興味もありませんでしたし、僕個人も経済的に余裕がある方ではないのですが、新人として頑張っている知人を応援するつもりで奥さん連れてノコノコ営業を受けに行ったのです。どうでもいいですが、夫婦で保険の話を聞くというのがとても結婚生活っぽくて今までにない感じでシュールでした。

 

 すると、保険屋さんのシステムはすごいですね、彼らが開発したソフトウェアにこちらの収入などの情報を入れると、自動的に今後死ぬまでのキャッシュフローを描いたグラフをシミュレーションしてくれるんです。我々夫婦のキャッシュフローは大体こんなイメージでした。

 こちらは決して正確なものではなく誇張しており、僕がグラフを見て受けた衝撃具合に基づいて再現したものです。実は奥さんは現在は休職中ですが、以前外資系の会社で働いていたので、もし今後も同程度の会社に働いたら、という想定で作られたグラフです。僕との年収は雲泥の差で、会社員として経過で収入は上がっていきますし、投資もしっかりとしているので死ぬ前には相当な資産を築いていることになります。

 

 先ほど我々「夫婦の」キャッシュフローと書きましたが、実質彼女一人のキャッシュフローと言っても過言ではなく、悲しいほどにそれほど僕の経済的影響力は皆無なのです。

 

 さて、話を戻すとこれは保険の営業なのです。縁起でもない話ですが、仮にどちらかが死んだ場合のキャッシュフローが出てきます。我々に子供が二人できたとして、仮に奥さんが悲しいことに若くして亡くなってしまった場合、僕の人生のキャッシュフローはこんな感じだそうです。

 これは正確なものではなく、提示されたグラフの印象をテッキトーに再現されたものです。僕は個人事業主として年収の増減が予想しづらく、便宜上一生僕の年収が今と全く変わらないものとしてシミュレーションしたら、僕のグラフは大体こんな感じでした。一応しこしこNISAやiDecoなどやってるんで、死ぬ間際に投資分がちょっと返ってくるくらいです。経済的に苦しい中子供達も大学へ頑張って行かせ、老後の貯金がギリあるかないかくらいです。一家の大黒柱がなくなった影響が如実に出ています。

 

 一方で、同じく子供が二人できたとして、今度は僕が死んでしまった場合の想定される未亡人たる彼女のキャッシュフローはこんな感じです。

 あれ?これはさっき見たグラフでは?と思ったあなた、これはコピペです。そう、何も変わらないのです。僕が生きようが死ぬまいが、彼女の経済的人生には一切関係がないのです。薄々分かっていましたが、こうして「見える化」されると残酷なまでに己の経済的無力さが自覚されました。ちなみに、営業しにきたはずの保険屋も苦笑いで「Taiyakiさんには生命保険はいらなさそうですね…」と言って僕に止めを刺しにきました。

 

 何度も言いますが、これらのグラフは大げさに簡略化したもので、本当はもっと複雑な要素が色々と絡んできます。人生自体も未知数なものが多く、数値で予測できるものではありません。奥さんも次の仕事が決まってないので、この通りになるとは限りません。それに僕だって、これから化ける可能性があるじゃないですか!

 

……強く生きよう。生命保険は死んだらどうするかって話だったはずですが、逆にそう思わせてくれたのはいい経験でした。