ネガティブなナルシスト、愛を探す/『デイブ』S3感想

 ディズニー+で『デイブ』シーズン3を完走。いやー、待ちに待っただけあってどの回も本当に素晴らしいシーズンだった。

 

 

 デイブはコミックラッパー、リル・ディッキーが自らの人生をドラマ化した作品であり、リル・ディッキーの為人がよく表れている。デイブはラッパーとしての己の才能に自信を持つナルシストである一方で、周囲を困らせるほどのネガティブなのだが、まがりなりにもYouTubeやブログをやったり人並み以上に承認欲求が強い僕は恥ずかしいくらい自分を見ているようだ。

 

 デイブの屈折した性格は過去2シーズンでも描かれていたが、シーズン3にはさらに「愛を探す」というもう一つのテーマがある。「愛を探して」というツアーで全米を回る中で、デイブは生涯の伴侶となる女性を探すが、当然捻くれて自己中心的な性格なので、中々うまくいかない。果たして、デイブは己のエゴを克服して愛を探し出せるのか、が本シーズンの鍵となる。

 

 ラッパーとしての過渡期を描いたS1、内面への旅を描いたS2、そして全米を駆け回るS3と、スケールが大きくなるにつれて確実に予算が上がっており、撮り方もいちいちカッコよく美しくてそれだけで必見である。一方で登場するギャグはラブドールだったりマリファナだったりどうしようもなくクダらなく、このかっこよさとクダらなさのギャップも相変わらず良い。しかしギャグでゲラゲラ笑っていたかと思えば、愛への問いにハッとさせられる瞬間もあり、本当によくできたシリーズだと思う。

 

 さて、予算が上がったと書いたが、S3の最終回には誰もが知る世界的映画スターや音楽業界の大物が登場してバカやったりと、死ぬほど豪華なキャスティングも見どころだ。シリーズではまだデイブはスターダムを駆け上っている途中だが、現実では次々と大物たちをブッキングできるくらいリル・ディッキーはスターになってしまったんだなぁ、と感慨深い。必見!