意外と一番コンプラがしっかりしてるのはテレビかも?

 僕は映像フリーランスの中でも結構特殊な方で、テレビ放送・CM・映画の仕事を受けている。CMと映画はまだ共通して請け負う人はいるかもしれないが、放送と他2つを一緒に引き受けている人は少ない気がする。同じ映像業でも使われている機材も違うし、制作方法も全然違うし、常識や用語だって異なったりする。例えば一昨日、テレビの現場でお腹が減ったので「ツナギありますか?」と聞いたら全く通じなかった。ちなみに、ツナギとは小腹が空いた時に食べる間食のことだ。

 

 こんなことを言ったら仕事先に申し訳ないけど、僕がやりがいを感じるのはCMや映画の仕事の方だ。高価な機材で照明をたくさん照らし、キメキメの画作りを直近で見るのは楽しいし勉強になる。テレビはどちらかというと大量生産工場みたいなもので、ただ映像に情報が分かりやすく映ってればいいので、あまり面白くはない。(あと、ギャラも安い)

 

 だけど、現場としてストレスが少ないのは、最近はテレビの方が多い。CM、映画の現場に行くと、誰かしらが怒鳴ったり嫌なことを言って、毎回神経がすり減る。一方で最近のテレビ制作の現場は皆で緩くやっている印象が強い。なんでか考えてみると、テレビはテレビ局という大きな会社が母体にあり、ハラスメントやコンプライアンスに厳しいからではないだろうか。一方で、CMや映画も制作会社が絡んでいるが、現場にいるのはフリーランスの集まりなので、コンプライアンスのコの字も気にしない旧態依然としたスタッフが多いと考えると、嫌な人間が多いのも納得がつく。

 

 もちろん、それぞれ組やチームにも大きく依るだろう。3~6年前にコーディネーターやっていた頃は、嫌なテレビディレクターとたくさん仕事をしてきた。一方で、すごく気持ちよく仕事をしたCMや映画の現場もたくさんある。ただ、世間の目やコンプライアンスのアップデートに敏感なのは、やはり放送局が母体になっているテレビの方なのかなぁと、ここ数日入っていたゆるいテレビの現場を見ながら思ったのであった。