TikTokに怒りが収まらない。昨年末に収益化が降りてようやく僕が作るコントにお金が入ってくるはずだったのに、一向に支払われる気配がない。TikTok上では支払い完了となっているのだが、僕のPayPalアカウントには一銭たりとも入って来ていない。悔しいことに、対象の動画がバズったこともあり結構な額なのだ。僕のコントはスタッフや役者を雇ったりして結構お金がかかるので、これで赤字がなくなるかと思いきや結局無収入なまま。
で、問い合わせたんだけど、あれから3週間先方から返事が一向に返ってこない。Googleが運営しているYouTubeもそうだが、利用者が多いIT大手はそもそも人間がカスタマーサポートの相手をしてくれない。とはいえ、YouTubeは申し立てを行えばすぐに人間によるチェックが入るが、ByteDanceのAIに任せっきりのこの対応は不誠実極まりない。
今日堪忍袋の尾が切れたのは、新しく出した動画がCreativity Program Beta(TikTokの収益化プログラム)資格剥奪の連絡を受けたことだ。昨日出した新作コントを前後編に分けて出したのだが、片方は「誤情報を拡散」しているとして、もう片方は内容が「暴力的」としてコミュニティガイドラインに違反しているというのだ。昨日のコントを見てもらえれば分かる通り、全くそんな内容ではないしむしろ反戦的なメッセージすら盛り込んである。即刻で異議申し立てを行ったが、そもそも資格剥奪の前に12月分の収益を払えよ！
結局、こちらはすぐに動画を復元してくれたが、100万再生までたどり着いた動画の再生数やいいねがピタリと止んだ。恐らく、一度規約違反を犯した動画としてアルゴリズムから外れてしまい、「おすすめ」に載らなくなってしまったのだろう。脇の甘さに腹が立つが、もうこれ以上申立する手立てはない。
これを機に僕が普段から抱いている危機感を共有させてもらうが、僕は人類が5000年かけて築き上げた尊い文明を破壊するものがTikTokだと思っている。TikTokは刺激的かつ表面的で、文脈もない断片的な情報を恐ろしく精度の低いAIとアルゴリズムで視聴者の脳に焼き付ける。イケメンや美女が流行の曲の一部に合わせて誰でもできるような退屈なダンスをしている動画や、バカみたいなイタズラ動画、インフルエンサーの根拠に欠けた妄言を短絡的に切り取った動画などで麻薬のような快楽を与え続ける。ショート動画により人類の集中力は減り、生産性も削られ、知能は下がり、映画や小説、絵画や音楽といった芸術は死ぬ。
しかし残念なのはYouTubeやInstagramといった他のソーシャルメディアもTikTokに追従するようにショート動画に力を入れている。そして悔しいかな、結局僕のようなコンテンツクリエイターもブランド認知力を伸ばすためにはショート動画には依存せざるを得ない。ショート動画なくしてもう人類は生きてはいけず、人類みんなで堕ちていっているのだ。せめてその事を自覚しながら破滅していこう。
